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一見すると「移動した軌跡で描く」だけですが、実は多種多様なテクニックが存在します。
GPSアート黎明期から様々なテクニックで描いてきたベテランの立場から、やさしく、やや専門的な視点で解説します。
描画技法の種類
様々な技法が開発されていますが、現状、整理すると下記に分類されます。
- シングルライン/マルチライン
- フリーハンド/道に沿って描く/点つなぎ
- 線画/塗り絵
- その他(グループワーク/動画/立体/ライブドローイング)
1. シングルライン/マルチライン
描かれた線が「1本か/複数本か」の違いです。
シングルライン(ワンストローク/一筆書き)
1本の線で描く技法。要は「一筆書き」です。
昨今流行しているランニングアートやGPSラン、STRAVAARTをはじめ、SNSで共有されるGPSアートは、ほとんどがこれに属します。
背景として、軌跡を表示するためのスマートフォンのアプリがシングルラインにしか対応していない事情が大きいです。
1本で描くため、範囲や時間など、アクティビティに制約が生まれます。
マルチライン(マルチストローク)
複数本の線で描く技法です。
時間や場所を分けて描けるため、シングルラインと比べ、より大規模な作品の制作が可能です。
複数本の線を同一画面で表示するには、現状、GoogleMapsのような地図アプリを活用しないといけません。専門知識が必要なため、ややハードルが高い技法です。
2. フリーハンド/道に沿って描く/点つなぎ
どのように「移動した軌跡を記録していくか」の違いです。
地理的な条件・制約によって生まれた考え方です。
フリーハンド
公園や広場など、自由に移動できるフィールドで描く技法です。
海外だと砂漠や湖、海面に描く作品も発表されています。
描くコツは、リアルタイムで自身の位置を把握し、軌道修正しやすくすることです。
道に沿って描く
道路を移動しながら描きます。
発表される作品のほとんどがこれに属します。
道筋や交通ルールの制約がありますが、その制約から偶然生み出される線が、作品に独特のテイストを生みます。
点つなぎ(点結び)
道路や河川の制約に縛られず、自由に描ける技法です。
GPSロガーで描かれる線は、基本的に「一定間隔(時間/距離)で記録された点をつなぐ」ことで描かれています。GPS端末で 一時停止/再開 を繰り返すことにより、点つなぎのように線をつないで描きます。
シングルラインで描く際、河川等で行く手が阻まれた場合にこの技法を活用する作品も見られます。
3. 線画/塗り絵
描いたイメージを 「線で見せるか/色面で見せるか」の違いです。
線画
移動した軌跡を「線」と捉え、文字や絵の輪郭を描きます。
発表される作品のほとんどはこれに属します。
塗り絵
色面で見せたいエリア内を行き来し、描いた線を密集させ「面」として表現する技法です。
都市部ような道路が密集した場所でこの技法が利用される作品が多いです。
4. その他
発表形態が特殊なため、イベント・パフォーマンス的な目的で発表されることがほとんどです。
グループワーク
一般的なGPSアートはひとりで描くケースがほとんどですが、複数人で描く作品も存在します。主な仕様は下記の通り。
同時多発式
ある一定の時間内に、様々な場所で線を描きます。
各参加者の描いた線を合成することにより、ひとつのイメージを生成します。
リレー/駅伝式
ひとつのGPS端末をバトン代わりに、複数人につないで描きます。
ひとりの体力では難しい長距離作品の制作が可能です。
動画
描いた軌跡を、地図上に動画で描く表現。
最近は専用アプリ Relive の登場により、より手軽に制作できるようになりました。
立体(3Dドローイング)
一般的には「地面・水面に描く平面作品」が主流ですが、空中に高さ情報も付加して描く3Dドローイング(立体作品)も存在します。
ライブドローイング
制作過程(移動している様子)を、リアルタイムで表示し発表します。
制作のライブ感を伝えるのに向いています。
発表には、専用のシステム・アプリが必要です。
また、現在地を知られることからセキュリティ面にリスクが発生するため、遅延表示を適用した方が安全です。
まとめ
体系化できるくらい作品数にボリュームが出て嬉しい限りです😀✨
この文章を執筆している時点(2020年11月)では、ランニングアプリを用いた「GPSラン」「お絵かきラン」が流行の兆しにあります。
ランニング文化の視点から「折り返しはいけない」とか「二重に描く道は最小限」「曲がり角は少ない方がいい」といった独自のポリシーや制約?も出てきて意見を求められますが……もっと比較分類できるくらい作品数が増えるとおもしろいでしょうね。
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